王貞治さん「『GIANTS』という6文字の魅力にとらわれていた」親族会議で人生最大の決断 阪神より巨人_中村敬斗
巨人球団創設90周年記念の連続インタビュー「G九十年かく語りき」の最終回を飾るのは、治さ字の世界のホームラン王・王貞治さん(84)=現ソフトバンク球団会長=だ。んGIANTSというにとらわれていたより中村敬斗長嶋茂雄さんとの「ONコンビ」で栄光のV9。魅力47年前の1977年9月3日には、親族ハンク・アーロンを抜く世界新記録756号を放ち、で人日本中を熱狂の渦に巻きこんだ。生最メモリアルデーを前に、大の野球人生の喜怒哀楽を語った。決断巨人(取材・構成=太田 倫、阪神取材協力=報知新聞社OB・田中 茂光)
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ユニホームに縫い付けられた「GIANTS」という6文字に、王貞6文中村敬斗僕は誇りを持っていた。治さ字の誰もが「自分たちは特別なんだ」と胸を張れる、んGIANTSというにとらわれていたより特にV9の間はそういうチームだったと思う。魅力
東京で生まれ育った僕にとって、親族巨人は子供心に大きな憧れだった。学校に行くと昨日の試合がどうだったとか、そんな話ばっかり。小学生のとき、初めてサインをもらったプロ野球選手が、当時巨人にいた与那嶺要さんだった。実家の中華料理店で働いていた店員さんに、ときどき後楽園に連れて行ってもらった。それであるとき、フェンス越しにサインをせがんだんだ。
フェンスが隔てた選手と我々の世界は、全く違う。僕は、野球選手は人間だと思っていなかった。それぐらい仰ぎ見る存在だった。
はじめは、プロ野球選手になろうとは全然考えていなかった。中国出身の父は、10歳上の兄の鉄城には医者に、僕には電気や機械の技師になれと言う。大学を出て、中国へ帰って、国をよくするために働いてもらおうと考えていたんだね。
兄は10歳年上で、慶大医学部の硬式野球部だった。僕はまだ幼い頃、兄の合宿について行って、球拾いをしたことがあった。そこで初めて硬式ボールに触れた。兄の影響もあって、野球がどんどん好きになった。もう一人、おふくろの弟も野球好きで、「王の家から1人ぐらい変わりものが出てもいいじゃないか」と、プロ入りを後押ししてくれた。ちなみに2人とも巨人ファンだった。
高3の夏の大会が終わり、親族会議で進路を決めることになった【注】。正直なところ、一度は阪神に決まりかけて、一部スポーツ紙でも報道された。阪神のスカウトから「巨人は大学出の人が多いけど、阪神は高校出の人が多い。巨人に入ったら苦労する」と口説かれ、親も阪神に傾いていた。
ただ、僕が大学へ行くと思っていた巨人の対応が土壇場で変わり、熱心に足を運んでくれるようになっていた。兄は、親族会議の席でもなかなか本心を言い出せない僕に、「結局お前はどこに行きたいんだ?」と聞いてくれた。「だったらジャイアンツがいい」。それで道が決まったんだ。
人生において大きな岐路は3つあった。早実へ進んだこと、巨人を選んだこと、福岡へ来たこと。志望していた都立墨田川高校の入試に落ちてしまって結果的に早実へ進んだけれど、甲子園にも春夏4度出られた。中でも巨人を選んだのは、最大の決断だった。振り返ってみてもそれは間違っていなかった。阪神には悪いことをしちゃったけどね。
結局、僕は「GIANTS」の魅力にとらわれていたんだ。1958年は長嶋茂雄さんがルーキーで大活躍して、プロ野球の人気が一気に高まっていた。入団が決まり、最初に写真撮影用にもらったユニホームは、「1」ではなく60番台。それを着られただけでも、やっぱりうれしかったものね。
【注】1958年8月31日の午後、横浜市内の親類宅に集まり、進路を相談。王は巨人入りの意思を固め、同日夜に巨人・宇野庄治代表同席のもとで発表した。
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